天気情報が天職との出会い、イレギュラーのヒリヒリ感も楽しめるオペレーションスペシャリストが語るロードコントロールの世界~Landing STORY Vol.4~

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天気情報が天職との出会い、イレギュラーのヒリヒリ感も楽しめるオペレーションスペシャリストが語るロードコントロールの世界~Landing STORY Vol.4~

みなさんこんにちは
ライターのSHIORIです。

航空業界への就職を“旅”と定義するマイターミナル。
業界で活躍している人がどう羽ばたき、どう航空業界の地に着いたのかを掘り下げるインタビュー企画「Landing STORY」

前回の「株式会社JALスカイ」の浅野 沙織様の記事はいかがでしたでしょうか?
4回目となる今回はANA成田エアポートサービス株式会社で働く髙橋香織様からお話を伺いしました!「イレギュラーのヒリヒリ感も楽しめちゃうタイプなんですよね」と笑顔で語る髙橋さんに普段聞けないロードコントロールの仕事の面白さや大変さをお話いただきました。


■インタビュー
ANA成田エアポートサービス株式会社
オペレーションマネジメント部 
髙橋香織様
2011年新卒で新千歳空港のハンドリング会社に入社
入社後、ロードコントロール業務をメインに経験を積む。
より仕事の幅を広げたいと思い、2020年ANA成田エアポートサービス株式会社に入社。

電光掲示板の天気情報が導いたロードコントロールの世界

電光掲示板の天気情報が導いたロードコントロールの世界
Q:航空業界に入ろうと思ったきっかけを教えてください
学生時代に英語を使う仕事につきたいと思っていました。大学でも英文科に所属をしていて、学んだことをここだけではなく、仕事に活かしたいと思い、英語を活かせる仕事は航空業界かなと。周りの学生も航空業界を目指す方が多く、自然と興味を持ち、地元の北海道内の新千歳空港で働く事にしました。

Q:新千歳空港での9年間はどんな経験をされてきたんですか
新千歳空港内のハンドリング会社に入社しました。
入社後すぐロードコントロール(※1)の担当をして、2年目から国内線のLCCのターンアラウンドコーディネーター(※2)を経験し、3年目にやっぱり旅客グランドスタッフをやりたいと思って半年くらい経験させていただきました。グランドスタッフを半年程経験したのですが、やっぱりロードコントロールが自分に合っているなと思い、戻りました。
以降は新規就航する航空会社の受託準備の仕事や、スポットコントロールやハンドリングコントロールの業務を担当していました。
※1:主には搭載指示書を作ることになります。荷物を搭載するランプの方々にここにこれだけの荷物をつんでいただきたいという指示をするための書類です。安全に飛行するために重心位置を保つため、荷物の搭載位置を考えて決める業務になります。
※2:飛行機が到着してから折り返し便の再出発するためのタイムキーパー的な仕事


Q:入社時からロードコントロール業務などを任されることは珍しいですよね
はい、旅客グランドスタッフとかグランドハンドリングスタッフの仕事を経験してからオペレーションに異動になる方が多いですよね。 元々は旅客グランドスタッフなどの旅客サービス部で選考が進んでいたんですが、内定を頂いたのがロードコントロールなどを行う航務部(オペレーションのこと)でした。実は最終面接の日に空港の電子掲示板の所で天気を見ていたんですが、その時に採用担当の方に「天気とか興味あるの?」と声をかけられたんです。「興味なくはないですね」みたいな話をしたのですが、それが航務部での内定に繋がったのかもしれないとか笑 
最初は航空業界で働けるなら職種はこだわらなくても良いかなと思ったのと、あまりみなさんが知らないオペレーションという仕事に関われるのも楽しそうかなと思って始めました。

Q:実際始めてみてどうでしたか
最初は座学と実機でのウエイト&バランス業務(※3)を学びました。
旅客グランドスタッフやグランドハンドリングを経験していない私は「飛行機はどうしたら飛ぶのか」や「他の乗り物のように自由に座ってはいけないのはなぜなのか」とか基礎から勉強し、担当する航空会社のウエイト&バランスの資格取得に向けて準備をはじめました。ひたすら卓上での勉強が続きましたね。
搭載の司令塔のような仕事なので、現場のことをまだあまり知らない私が指示を出していいのかなという気持ちは最初あったんですけど、上司が丁寧に教えてくれたので苦労はそこまでなかったです。
※3:飛行機の重量計算や飛行機の重心位置をどこに持っていくかを計算しパイロットへ伝える仕事

Q:イメージしていた英語を使う仕事とは違いギャップなどはありましたか
学生時代にイメージしていた英語を使ってお客様と接客をするというものとは全く違う仕事だなというのを感じました。でも想像していたのとは違ったものの、一般にみなさんにはあまり知られていない所でこういうふうに働いている仕事も楽しいなと思いました。
それに、担当していた航空会社が海外の航空会社だったので、コックピットクルーの方が外国人の方で、英語を使う機会に恵まれました。フライトプランを持っていく際や最後にウエイト&バランスの結果をお伝えする際にも英語でコミュニケーションをとれたので、ギャップはあまりなかったです。

“転職・イレギュラー対応・やりがい”から感じる、スキルアップの確かな手応え

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Q:今のお仕事を教えてください
新千歳空港で身に着けたスキルや知識をさらに磨きたいと考えて、多種多様な貨物の取り扱いがある現在働いているANA成田エアポートサービスに転職しました。
主に、ANA便のロードコントロールの仕事を担当しています。
1年目は成田から出発する便のロードコントロールを担当してました。2年目からは海外発日本行きの便のロードコントロールを遠隔で行うリモートロードコントロールに関わっています。海外から今日の貨物情報やお客様情報をもらって、その情報に対する搭載指示書を作成し海外へ送り搭載してもらったものに対する重量計算をしたものをコックピットへお送りして出発してもらうという業務です。

Q:新しい発見や苦労はありましたか
転職した当時はコロナの影響で飛行機が飛ばなくなってしまったので、せっかく来たのにという気持ちがありました。でも、転職して半年経ったころからお客様を乗せる旅客機に貨物だけ載せて飛行することも増え、これまではお客様と貨物でバランスをとっていたのに、貨物だけでバランスをとらなければいけなく、それを考えるのが難しくもあり、勉強になったので面白いと思いました。
リモートの難しさは情報を得るためにタイムラグが発生することがあるので、早め早めに対応して行かなければいけないなと思いましたし、それぞれの空港の特性があって、“この空港はこうした対応の方がスムーズだな”とかがあってそれに慣れるのも最初は大変でした。

Q:ロードコントロールをしていてのやりがいや面白さはどんなところですか
たくさんあるんですよね、結構マニアックなものかもしれないです笑
重心位置を安全なところに持ってくる中で、特にここに持ってきたら燃料効率が良くなるというピッタリなプランを作れた時にやりがいを感じますね。燃費がいい飛行機が飛ばせると嬉しくなります笑
成田に来てからは貨物やDG(※4)がたくさんあるので、決まりごとが今までよりも多くあって、そういう決まりを加味しながらプランを作成することが多くなりました。これとこれは一緒にしちゃいけないというルールを守りながらも重心位置がいい所にプランが作成出来たら「よし!」と思います笑
こんなこと言っちゃいけないかもしれないんですけど、実はイレギュラーは嫌いではないんです笑 1便1便同じじゃないことが楽しいですし、時間通りに出さないといけないというピリピリ感が好きなのでこの仕事について良かったと思ってます笑 1便終われば達成感が得られるのもいいですよね。
業界人ならみな同じかと思うんですが、どんな困難があっても自分の携わった飛行機が安全に飛んで安全に到着できた時は何よりです。
※4:Dangerous Goodsの略。航空機で輸送する際に注意が必要な危険物のこと。


Q:今後どんなキャリアにしていきたいですか
ロードコントロールも楽しいんですが、できたら3年目くらいには運航支援の方に異動して運航管理(※5)の資格をとれたらいいなと思っています。
運航管理の資格をとるのに2年はかかるので、できるだけ早めに関われたらなと思ってます。資格をとったら本社にも行ってみたいですし、フライトプランの作成もしてみたいと思ってます。 
※5:航空機が安全に空を飛べるよう、気象状況などの情報を集めてフライトプランを作成する仕事
Q:お休みの日は何をして過ごすことが多いですか
成田にきてまだ2年目なので、周辺のことを知りたいと思って、特に行き先を決めずどこどこ駅で降りてみようとかフラッと出かけたりしてます。コロナ禍では読書したり映画観たりもしてました。
目標として屋久島の屋久杉を見に行きたく、結構過酷なコースと聞いているので最近はトレッキングをできるようになりたいと思っています。神社巡りも好きで、関東の神社をまわって御朱印を集めてます。

Q:航空業界への就職を目指している方にメッセージをお願いします
今は航空業界は結構大変かなと思う方もいらっしゃると思うのですが、中で働いている身としては、少しずつお客様も増えている感触もありますし、貨物が例年にないくらい増えてると聞いてますので、将来的にもまだまだ盛り上がって行くと思っています。パイロットや旅客グランドスタッフやCAのような表から見える航空業界もあるのですが、オペレーションのような縁の下の力持ちと言いますか、裏で安全に飛行機が運航するために働いている仕事もあるということを知っていただければと思います。これから航空業界に入る方にはロードコントロールにもぜひ興味を持っていただけると嬉しいです。

おわりに

最後までお付き合いいただいてありがとうございます!
ロードコントロールのスペシャリストとして活躍をされている髙橋さん。本当にこの仕事がお好きで、1便1便にわが子のように愛着をもっていらっしゃることがとても印象的でした。航空業界を目指す方のキャリアの選択肢の一つとして興味をもっていただけたら嬉しいです。