「大きな機械に触れたい」警察官からヘリコプター整備管理へのキャリアと仕事~Landing STORY Vol.9~

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「大きな機械に触れたい」警察官からヘリコプター整備管理へのキャリアと仕事~Landing STORY Vol.9~

みなさんこんにちは
航空業界への就職を“旅”と定義するマイターミナル。
業界で活躍している人がどう羽ばたき、どう航空業界の地に着いたのかを掘り下げるインタビュー企画「Landing STORY」

前回の「アイアシスト合同会社」の前田様の記事はいかがでしたでしょうか?
9回目となる今回は東邦航空株式会社の整備管理職である清水哲也様からお話を伺いしました!
あまり馴染みがないヘリコプターの整備管理のお仕事内容や苦労・やりがいなど、普段聞くことのできない貴重なお話を伺いました。

■インタビュー
東邦航空株式会社

清水哲也様
工業高校卒業後、警視庁に就職。
その後、幼い頃から抱いていた「機械に触れたい」という想いから、
航空系の専門学校に入学し航空整備士の資格を取得。
卒業後に東邦航空株式会社へ入社。
現在は管理計画課において、ヘリコプターの整備管理職として整備スケジュール管理などに従事。

「好きを仕事に」警察官からヘリコプター整備管理への道

Q簡単な経歴を教えてください
東京都出身で東京の工業高校卒業後、工業とは関係ないのですが、警視庁に警察官として入庁しました。
ただやっぱり機械が好きで、機械に触りたいという想いを諦めきれず、警察官を辞めて航空系の専門学校で整備を3年間学び、国家資格の航空整備士のライセンスを取得しました。
卒業と同時に縁あって東邦航空に就職し、管理計画課に配属され現在に至ります。


Q警察官から航空業界へのキャリアチェンジはどのような経緯だったのでしょうか
高校生のときに機械をいじっていた経験と、もともと乗り物を整備してみたいっていう想いがありまして。
その中で、自動車整備士はいっぱいいるけど航空整備士は周りに一人もおらず、単純な理由ではありますが、
「より大きな機械を整備して機械いじり感を味わいたい」っていう想いがあったからです(笑)


Q大きな機械の中でヘリコプターを選ばれた理由はなんですか
飛行機(固定翼)って機体が大きいので、1機を1人で整備するのではなく何十人何百人という単位で整備しますよね。
それに比べてヘリコプターは基本1機を1人で整備するので、そこに面白さと責任感を感じて惹かれたのが一番ですかね。
あとは日本におけるヘリコプターの活躍領域は防災ヘリやドクターヘリが主であって、
より人や社会、人命に直結する貢献性をもった事業に携われる点にも魅力を感じて選びました。
あとこれは入社時には秘密にしていましたが、東京出身で東京から離れたくなくて(笑)
東京で飛行機ではない航空機に携われる仕事で考えた時に、ヘリコプターかなって密かに考えていました(笑)

複雑な仕事にこそ感じる苦労とやりがい、存在意義

複雑な仕事にこそ感じる苦労とやりがい、存在意義
Q今の業務内容について
今は弊社が保有する機体と整備を受託している機体の約30機以上のヘリコプターの点検スケジュールの管理をメインに担当しています。
ヘリコプターの整備を年間でどの機体をどこに入れて整備していくかっていうスケジューリングや他社さんとの打ち合わせなどを行っています。
簡単にお伝えすると、航空機の部品って取付年数や飛行時間での交換が決まっているんですね。
なのでそのタイムリミットがいつ頃きて、いつまでに交換(整備)していくのかを管理をするようなイメージです。

Q整備士ではなく整備管理側に配属された時の印象はどうでしたか
専門学校で整備資格を取って入社したので、整備士になるんだろうなってイメージしてました。
初めに管理計画課への配属を知らされたときは「そもそもなにするところなんだろう?」って感じで正直困惑はありましたね(笑)
でも実際に管理側の仕事もデータ処理などが得意な方だったので、今考えると合っていたのかなって思います。
なので素直に嫌っていう感情はなかったです。
それに整備士資格を取得した状態で管理側の仕事をするメリットとして、どこの何の部品か、
どのような整備内容なのかというのがイメージできるので、その点は仕事はやりやすかったのかなと思います。

Q現在のお仕事での苦労を教えて下さい
そうですね。一言でいえば「とにかく複雑」ですかね(笑)
車にも車種が色々あると思うんですが、ヘリコプターも一緒でイタリア製の機体であったりアメリカ製の機体であったりと様々な種類があって。
部品の交換スケジュールも全部一緒ではなく機種ごとに決まっているので、何万という単位の部品を機体の種類ごとにスケジューリングしていくのは少し大変な所ではあります。
もちろんそこが腕の見せ所なんですけどね。
最近の苦労でいうと、コロナ渦における物流や半導体不足の世界情勢で部品調達の計画に遅れが出る影響とかもありますね。
部品の到着が遅れれば、これまで組んでいた計画が延びて後の工程の組み直しが必要になります。
これは正直胃が痛い作業です(笑)
でも1人で抱える仕事ではないですし、整備士、パイロットなど色々な方の協力と先輩のフォローの中で行う仕事なので、チームで前向きに取り組めています。


Qやりがいや大切にしている事について教えてください
整備工程がうまくスケジュールできないと、ヘリコプターが飛べないという状況になります。
なので自分の仕事が「ヘリコプターを飛ばす」、もっと言えば「社会貢献や人命救助」ということの一翼を担っていることに、やりがいやプライドを感じて仕事しています。
また一生懸命考えたスケジュール工程に対して、整備士の方から評価をもらえる瞬間もやりがいです。
大切にしていることは、関係する人とお互いに仕事をしやすい環境を作ることですかね。
自分1人の判断ではなくチームで行う仕事なので、win-winな答えを出すために積極的にコミュニケーションを図り情報共有を徹底するように心がけています。
「清水が管理計画課にいれば安心だな」と言われる存在になれるように頑張っています。

Q今後のキャリアでやってみたいことはありますか
もう少し管理計画課の仕事をマスターしてから、ゆくゆく整備の現場で働きたいとは思っています。
専門学校でも回転翼機・ヘリコプターのコースで整備士の資格も持っているので、
その知識と管理計画課での経験を活かして、機体をさわり、整備して実際に飛ばすところまで一連でかかわれるといいですね。

航空業界は飛行機だけじゃない、 魅力的な回転翼の世界

航空業界は飛行機だけじゃない、 魅力的な回転翼の世界
Qお休みの日はどんなことをされていますか
休みの日には日本全国回って、ヘリコプターとか飛行機の写真を撮って観光して美味しいものを食べる、みたいなことをしています(笑)
天気が良い休みには毎週行っていますね。
インドアな見た目かもしれませんが結構アウトドアでして(笑)
これが仕事のモチベーションにもなっています。趣味が本業みたいな感じですね(笑)
出かけられない日には、家で写真の編集作業をしたり、仲間と次にいく場所の予定を話したり、飲みに出かけたりしています。

Q推しの機体などはありますか
マニアックな話になっても大丈夫ですか?(笑)
私が推している機体はAW139といいまして、レオナルドというイタリアの会社が作っているヘリコプターなんですけど。
防災ヘリや弊社が運航する東京愛らんどシャトルなどに使われている大きく魅力溢れる機体です。
好きな部分は、イタリア製ということもあり、芸術性のあるフォルムをしていることや、流線型のイメージをしている所ですかね。
最新のアビオニクス機器を搭載している所も魅力的なポイントの一つだと思います。
是非調べてみてください(笑)


Q航空業界への就職を目指している方にメッセージをお願いします
資格がなくても携われる仕事もあると思いますので、興味を持ってやりたいことがあるのであればぜひ航空業界を目指して行って欲しいなと思っています。
特に整備だと専門学校に通ったり、特別な資格を持っていないと入れないと思っている方も多いと思いますが、
弊社でも入社後に研修や提携する専門学校を通して資格をとるプログラムを用意しています。
他にも、整備以外にも塗装や電装関係の業務もあります。
こちらは資格も不要で、実際に機体や部品に触ることができます。
ほかの会社でも様々な業務があると思うので、ぜひ調べてみるのも面白いと思います。
また、航空業界というと固定翼(飛行機)のイメージが多いと思いますが、回転翼も面白いので選択肢のひとつとして目を向けてもらえるとうれしいです。

おわりに

最後までお付き合いいただきありがとうございました!
ヘリコプターの整備管理計画という、普段はあまり聞くことができないことを、たくさん聞かせていただいてとても興味深かったです。
今後とも、ヘリコプターに熱い想いを持つ清水さんのご活躍を陰ながら応援させて頂きます!本日はありがとうございました。